世界文化遺産であるアンコール遺跡は有名なアンコール・ワットのみを指すのではなく、シェムリアップ周辺に点在する数多くの遺跡をも含めます。今回は私がツアーなどで訪れた主な遺跡、おすすめの遺跡をピックアップして紹介します。
アンコール遺跡観光時の注意点
- 体力に自信がない人はレンタル自転車はやめよう
- 不衛生そうな屋台での食事には注意
- 雨季の観光では雨具が必要
アンコール遺跡を回る場合、基本的にはホテルないし旅行会社のツアーに参加するか、バイクタクシー(バイタク)のドライバーと交渉して連れてってもらうかがいいと思います。
各遺跡を見学するには入場券が必要で、1日券、3日券、7日券という種類のあるパスポートのようなものなのですが、それはチケット・チェック・ポイントで購入できます。つまり観光初日にそのチケット・チェック・ポイントに行く必要があるのですが、私の場合はドライバーがそこまで連れてってくれました。自分でチケット・チェック・ポイントを探す必要がないので、初日はツアーに参加するかバイタクを手配したほうが楽かと思われます。
ただツアーで回らなかった小さな遺跡に行きたかったり、一人で気儘に回ってみたかったりすることもあるでしょう。その場合、レンタルバイクかレンタル自転車を借りることになります。
私は両方試してみましたが、レンタル自転車は私には体力的にかなりキツかったです。まずシェムリアップ市内からアンコール・トム周辺に行くまででヘトヘトになってしまい観光どころではありませんでした。単純に私が体力がなかっただけかもしれないですが。西洋人のカップルがスイスイ自転車をこいで私を追い抜いていくのを見ると、彼らはなんて体力があるのだろうと驚かされました。
レンタルバイクも試しましたが、当時私はバイクに乗った経験もないのに借りるという無謀なことをしました。アンコール遺跡周辺は道幅も広いし大丈夫だろうと思い、ネットで運転の仕方を調べて乗ったわけですが、よく事故を起こさなかったなと思うくらい危なかったです。そもそもアンコール・トム周辺に出るまでは普通に交通量の多い市内を走らなければならないわけです。私のような無謀は絶対にやめましょう。
ただ、バイクの経験があって運転に自信があるなら、レンタルバイクもいいと思います。自転車のように体力が消耗することもなくスイスイ行けます。注意点はバイクを借りるときはパスポートを預ける必要があることと、借りたらまず市内でガソリンを満タンに入れておくことです。
その他、電動バイクの店もシェムリアップ にあるそうです。自転車に乗る体力もなく、またバイクの運転にも自信がない人はこれがいいかもしれません。ただ私もネットで存在を知って店を探したのですが見つけられませんでした。
二つ目の不衛生そうな屋台ですが、私はアンコール・トムのなかの屋台のメシで食あたりになってしまいました。その日は自転車で回った日でもあり、疲れて免疫も落ちてたのかもしれません。吐き下しと下痢のため次の日丸々一日ホテルで休まざるをえませんでした。シェムリアップ 滞在は8日しかなかったので、1日無駄にしてしまったのはもったいなかったです。灼熱のような太陽が暑い真っ昼間、屋根もない屋台で焼肉を食べたわけですが、十中八九その肉が悪かったと思われます。夏の暑い日など食材も悪くなりがちなので、屋台のメシなどは注意が必要です。
三つ目の雨具ですが、私が訪れた5月後半は雨季のはじまりかけで、時々猛烈なスコールに見舞われました。いかにもスコールらしく長々と降ることはなかったので、たいてい遺跡で雨宿りしていれば雨雲をやり過ごすことはできましたが。とはいえ雨具はあったほうがいいでしょう。
1. アンコール・ワット Angkor Wat
いわずと知れたアンコール遺跡を代表する寺院で、12世紀初頭に創建されました。創建者はスールヤヴァルマン二世。ヒンドゥー教のヴィシュヌ神に捧げられた寺院です。
アンコール・ワットについては別に記事を書きました。リンクはこちら。
2. バイヨン Bayon
アンコール遺跡の二大遺跡としてアンコール・ワットとともに語られるバイヨン。観世音菩薩の四面塔が有名な仏教寺院で、12世紀末に創建されました。創建者はジャヤヴァルマン七世。
3. バプーオン Baphuon
アンコール・トムの中の王宮そばにある寺院。11世紀中頃に創建されたヒンドゥー教の寺院です。
4. タ・プローム Ta Prohm
アンコール遺跡のなかでも特に自然の猛威を目の当たりにできる寺院。熱帯の榕樹(スポアン)が建築物を押しつぶさんとする光景は瞠目に値します。1186年にジャヤヴァルマン七世によって仏教寺院として創建されましたが、のちにヒンドゥー教寺院に改造されたようです。
5. バンテアイ・クディ Banteay Kdei
もともとヒンドゥー教の寺院として建てられたものがジャヤヴァルマン七世によって仏教寺院に改造されたとのこと。創建年代は12世紀末。
バンテアイ・クディへ向かう道。
通ったのは午前でしたが、まだ暑くなる前で、空気は清々しく透明感があって気持ちよかったです。
アンコール・トムの南大門と同じく神々と阿修羅が大蛇(ナーガ)の胴体を引き合う。ヒンドゥー教の神話「乳海攪拌」より。
阿修羅の像。
神々の像。なぜか両方の像とも大半は首がない。
音楽を演奏してました。
6. 東メボン East Mebon
東バライという灌漑用貯水池の中心に存在した遺跡。現在は水はないが、当時は貯水池の中に浮かぶように建設されたといいます。952年にラージェンドラヴァルマン二世によって建立されたヒンドゥー教のシヴァ派の寺院です。
切り絵?を売る人々。
7. プレ・ループ Pre Rup
961年にラージェンドラヴァルマン二世によって建立されたヒンドゥー教シヴァ派の寺院です。東メボンの南に位置します。こちらは東バライの貯水池の外にありました。
上からの眺めが良かった。
このとき大雨に見舞われて、遺跡のなかで雨宿りしたのが印象深く記憶に残ってます。雨はすぐに止み、それがずいぶん意外でしたが、あとから雨季のスコールだったと知って合点がいきました。
8. タ・ソム Ta Som
12世紀末にジャヤヴァルマン七世によって建立された仏教寺院。
入口です。右にいるのが検札係で、遺跡に入るには入場券を見せる必要があります。他の遺跡でも同様です。
美しい女神像が多い。
木の枝に包まれた女神像。アユタヤーの仏像を思い出します。
絵を売ってました。
9. バンテアイ・スレイ Banteay Srei
967年にヒンドゥー教のシヴァ神とヴィシュヌ神に捧げられた寺院。
美しいレリーフ(壁面彫刻)が残っていることで有名な遺跡です。また作家アンドレ・マルローがここの女神像を盗んで国外に持ち出そうとして逮捕されたというのも有名な話です。
10. クバール・スピアン Kbal Spean
「川の源流」という意味を持つそうで、実際シェムリアップ川の源流にあたるらしい。川の岩肌や水底に彫刻が彫られた一風変わった遺跡です。
さらに変わってるのは、チケットチェックポイントのある駐車場から山道を40分以上登らなければ遺跡に辿り着けないということです。こんなことは他の遺跡ではないことです。
私は高知家のツアーに参加してドライバーと二人でやってきました。普段はドライバーは遺跡の外で待ってるのですが、この遺跡では俺について来いといった感じで先に立って歩いていきました。
遺跡への山道入口です。
完全に山道です。
とてもガイド無しでは来れそうもないと思いました。岩の間をよじ登るような道もあり、体力のない私にはかなりきつかったです。観光客は少なかったですが、それでも何グループかは来てて、山道の先の見えない草陰から声が聞こえたりして、ずいぶん先を歩いてる人がいるなと思ったりしました。
ようやく辿り着きました。ここがクバール・スピアン遺跡です。
水底に遺跡があります。他の遺跡ではない光景です。中央に見えるのはヨニと5つのリンガです。
水の流れる岩肌に彫刻が彫られています。
これを発見した人の驚きはどれほどのものだったしょう。
以上、クバール・スピアン遺跡でした。
もと来た道を帰ります。
彼は私のドライバー。高知家で働いているよう。はじめのツアーで会った時、無口で無愛想な青年という印象でしたが、連日のようにツアーで一緒にいるうちに打ち解けました。屈託のない笑顔が太陽のように明るい青年でした。
木の蔓で”あーああー”といわんばかりにターザンしてます。まるで野生児!
11. ベン・メリア Beng Mealea
深い森の中に埋もれた遺跡ベン・メリア。現在も修復が施されず発見当時の状態で残されています。
保存状態のよいナーガがお出迎え。
廃墟です。
インド古代叙事詩の「ラーマーヤナ」が描かれているそうです。身の潔白を証明するため火の中に身を投じるシータ姫。物語の決定的場面です。
これは乳海攪拌。
以上、ベン・メリアでした。
外で待ってた例のドライバーと合流すると、彼に遺跡入口にある食堂で昼食をとるように言われました。でも彼は外で待って買わないようだったので、私がおごるよと言うと彼は少し嬉しそうにして一緒に席に座りました。彼は私と同じものを注文して、それをぺろりとたいらげました。
帰り道、彼は途中でバイクを止めると、ある一軒の露天に寄りました。
サトウキビジュースの店でした。
戻ってきた彼は私に「pay you」とサトウキビジュースをくれました。
冷たくて甘くてとても美味しかったです。暑かったのでなおさらそう感じました。彼も運転席で風に吹かれながらうまそうに飲んでました。今となってはとても懐かしい、アンコール遺跡巡りでのいい思い出です。